3.とにかく重ねて表現する!
3つ目、京ことばには重ねて強調する表現法が多い、ということです。今回は「これを知ってると特にトリビアとなりやすい」2つのパターンをご紹介します。
①丁寧語「~やす」を重ねると「最強の敬意」が伝わる!
まずは、丁寧語の「~やす」を重ねる表現です。「やす」は1つの文章の中に何回も使われることで、ていねいさや敬意を強調する働きがあります。
1)「やす」の意味と使い方
まず、「やす」という言葉がどのように使われるのかを理解しましょう。
「上がってください。お召し上がりください。」を意味する言葉を「やす」で表現してみると、
おあがりやす
となります。
お + 動詞の連用形 + やす 注
という形にすると「~してください」という意味を持たせることができます。話者の意志を強く感じさせる言葉ですね。
挨拶語などには動詞のきまりなどは関係なく、その言葉のあとに「やす」を付けることができます(おかえりやす・ごめんやす・おやすみやす他)。
2)丁寧語や尊敬語を繰り返して強調する。 ~「やす」は特に使いやすい!~
では、「~やす」の連続攻撃wを見てみましょう♪
たとえば、こんなところにありますよ。
久々に我が家を訪問してくれた人に対していう言葉。
ようお越しやしとぉくりゃしたなぁ (よくお越しになってくださいましたね)
これ、初めて聞いた人は1回では聞き取れないようです笑
発音をさっきの「暑おんな」みたいに分解してみましょうね。
まず発音のままでなく、表記する形に直します。
ようお越しやしておくれやしたなぁ
これ、昭和生まれの関西人にはちょっと「聞き覚えがあるようなフレーズ」になってませんか笑笑 この話はまた次の章で。
ちょっと横道それましたが、さきほどの「よう…」の言葉を「~やす」が使われている場所を示しながら分解。
よう+お越しやして+おくれやした+なぁ (よく+お越しになって+くださいました+ねぇ)
「~やす」が「やし」と変化して2回繰り返されてますね。ところが、これはもう一つ敬語が重なってるの、わかりますか?
そう、「お越し」です。
よう+お越しやして+おくれやした+なぁ
これはさらに3重に敬意を表してくださってたんです。これを年配の方から言われるのですから、こちらは「ハハーッ!」ってなるわけです笑
「~やす」は「尊敬語」というよりは「丁寧語」で、年配の方が年下の私にも使ってくださっていた場面はたびたびありました。しかしこの言葉も、現在はもう全くと言っていいほど聞きません。
3)末成由美さんのギャグ「ごめんやして…」は京ことばを解説できる最強のサンプル。
この「やす」を使った言葉、身近な言葉ではなくなったけれど、実は50代以上の人たちには聞きなれたフレーズでもあります。
新喜劇の中で、人の前を通る時とか、家の中に入る時とかに使われます♪ これですよ。
ごめんやしておくれやしておくれやして…
「やして」の波状攻撃w 聞いたことありますか? ある人は昭和生まれですよね!
そう、吉本新喜劇の末成由美さんのギャグ!若い方はご存じないでしょうねぇ。
このギャグはちょっと京ことばをおちょくってる風に聞こえるんですが、響きが面白くていつも大きな笑いが取れてました。私ら京都の人間も、これ聞いても別に顔がひきつることもなく(?)、素直に面白がって聞いてきました。
で、実はこれ、今まで説明してきた「古い京ことばを解説できる最強のサンプル」なんです。上で書いてきた古い言葉の特徴をまことにうまくとらえてます。
まず1つ目。
文字通りの表記のまましゃべった形になっている。
前出の1と2で説明したことですね。
聞いたことある方は思い出してください。この音のまま発音されてましたね。「おくりゃす」なんて言ってない。はっきり「お・く・れ」って聞こえる。ちょっと私には違和感ある耳ざわりだけど。
そして2つ目。
丁寧語「やして」を繰り返して敬意を強調している。
「やす」の変形「やして」を繰り返す強調法を本当にうまくパロディってるのです。リアルにこんな風にくりかえしますから。末成さんの目の付け所が半端なく良いです!



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