NHK大河ドラマ「光る君へ」が盛り上がってきていますね。この舞台は千年も前の平安時代。かなり古い時代のお話ですから、理解しづらいところが多いのではないでしょうか?
織田信長や豊臣秀吉、徳川家康のいた安土桃山時代や江戸時代は
何度もドラマ化されてるからなじみやすいけど
平安時代って、衣食住が今とは全く違っているし古すぎてわからないや。
実は平安時代をしっかり学べる施設があるのです。それは「京都市平安京創生館」という小さな展示コーナー。展示範囲は狭いけれど、平安京の大きな模型があるのでも知られており、この模型目当てに来られる方が多いですね。そして、京都の千年前の暮らしや風景を知るには欠かせない場所となっています♪
京都市平安京創生館は、規模は小さいけど他の博物館に負けへんほど
平安時代についてたくさん学べるとこなんえ!しかも無料!
ということで、今回は「京都市平安京創生館」の展示物の概要とその見方をご紹介したいと思います。
1.京都市平安京創生館とは?
京都市平安京創生館は、京都市生涯学習総合センター(=京都アスニー)(以下「アスニー」)の中にある施設です。入館料は無料。地図や住所は最後のアクセスでご紹介します。
隣には京都市中央図書館(以下「図書館」)があり、京都についての資料がたくさんあります。京都市右京中央図書館ができたときにかなりの資料が移ってしまったのですが、それでもまだまだこちらに大事な資料が残されているので、こちらで学んだことを調べてみてもいいですね。
平安京復元模型についてすぐ知りたい方はこちらをどうぞ!
①アスニー入口前の模様は何?
まずアスニーの入口前です。そこにはこんな連続した模様があるんですよ。これ、なんだかわかりますか?何も見ず通り過ぎていく人が多いのですが…
実は、これは平安時代の建物の柱の跡なのです!
ここはアスニーと図書館が建てられたとき(1978年)に発掘調査があり、「平安宮造酒司」という酒や酢を作っていた役所の倉庫跡が出土しました。遺跡はこの土地の下に保存され、柱の跡が入り口前にその形のまま表示されているのだそうです。
なんかモダンな模様みたいに見えるし面白いと思わへん?
まさにこの大内裏にあった建物が存在した場所に、平安京を学ぶ施設がある意味は大きいと思います。
②創生館へはどう行けばいいの?
まずはアスニーに入りましょう。アスニーは丸太町通から入りまっすぐ奥の建物で、図書館はアスニーの手前左にある建物です。
間違って図書館の中に入り込んでしまう方がすごく多いようなのですが、ここはまっすぐ奥に入っていきましょう。
実は2つの建物はつながっています。なので創生館へはどちらからも入れるのですが、やはりアスニー側から順番に見るように作られていると思います。
が、とりあえず、どちらの建物からも創生館へ入れるよう、両方の入り口をご紹介しておきますね。
アスニー側 | アスニーに入り左に曲がってください。 |
図書館側 | 図書館に入ってすぐ右に曲がり、トイレを通り過ぎたところにある入り口から入ってください。 |
2.平安京が学べる展示物一覧
入ったところから順番にご紹介しましょう。展示物は大体写真OKですが、中には「撮影禁止」の印が出ているものもあるので注意してくださいね。入り口はアスニー側から入った方とします。
①源氏物語屏風・平安宮造酒司の説明
アスニーに入って左に曲がるとパッと目に入るのが「源氏物語車争図屏風(複製)」です。平安時代に一気に取り込まれるような気分になります!
その向かい側には、入り口前にあった平安宮造酒司跡についての解説があります。実際に出土した遺物も展示されています。そこには子どもや外国人向けパンフレットも置いてあるので是非手に取ってみてください。
実はこの子ども用パンフレット、とっても秀逸で大人が読んでもとても分かりやすく書かれています。内部の展示場所の説明もあり、一目でどこに何があるかわかります!
②平安京跡イメージマップ
進んで行くと、足元に大きな地図が見えてきます。京都市内と平安京がオーバーラップした大きな地図で、今の京都のどこに平安京の何があったかがよくわかります。みなさんかがみこんでご覧になってますね♪
③体験コーナー
平安時代の装束を着ることができるコーナーです。セルフサービスwになっていて、自分で着てみるところからの体験です!
十二単は1人では着られないのでさすがにありませんが、平安時代普段着だった、女性の袿・男性の狩衣が用意してあります。1人で着るのが難しい場合は、ボランティアさんに教えてもらえます。
撮影は自由ですが、そこから離れて動きまわることはできません。また、平安時代の遊び(碁や貝合わせ、偏継など)もできるようなのでボランティアさんに尋ねてみてくださいね。偏継は「光る君へ」でも出てきましたね♪
④法勝寺復元模型
②と③の向こうには今は岡崎と呼ばれる地にあった六勝寺(「勝」の字が付く6つのお寺)の1つ、法勝寺の復元模型があります。この地はもともと藤原氏の別荘地でしたが、道長の孫、師実が白河天皇に献上した後お寺が建てられました。
なんと八角の九重の塔が建っていたそうです!
法勝寺の広さ雄大さを模型で感じ取っていただけると思います。
塔の復元図作成に関する説明、北側壁沿いにありますよ。
・次は、模型と同じフロアにある展示物をご紹介していきますね。
⑤土層パネル
法勝寺模型の南隣に土層が展示されています。
京都市立高倉小学校の建設時に、土層をベリッとはぎ取って来たものだそうです。層がはっきり分かれ、時代の境目がよくわかるのでじっくりご覧ください。
火災層は赤う焦げた土が積み重なってた。ご先祖さんが大火に遭わはったのを
聞いてたし、見てるうちに辛なってきたわ~(笑ってるけど心で泣いてる)
⑥北野天神縁起絵巻(承久本)複製
土層の隣にあって、北野天満宮が所蔵する絵巻の複製を見ることができます。複製ですが細部まで美しく、見ごたえがあります。
⑦特別展コーナー
今回は「文化庁京都移転記念企画展 紫式部が生きた平安時代の暮らし」という展示です。平安時代の「宴・美容・装束・重式目・唐菓子・食事」について詳しく説明されており、とても見ごたえがありました。「光る君へ」にも合わせた展示のようですね。
「発掘調査成果写真展2023」では、昨年の発掘品などが展示されていました。これを見ると、京都市考古資料館に行きたくなりますね!こちらもまたすばらしい資料館なので、別ページで紹介したいと思っています。
⑧バーチャル平安京 平安京オーバーレイマップ
法勝寺模型の正面から見て右手(北側)に、②(平安京イメージマップ)の地図をここで見られるコーナーがあります。
立命館大学アート・リサーチセンターのウェブサイトで公開されているので、ネットでも見ることができます。
でも、この場で見ると、さらに強く平安京を感じることができる気がしますね♪
⑨洛中洛外図屏風(上杉本)陶板壁画
同じフロアの一番奥に大きな屏風絵があります。
国宝の洛中洛外図屏風が陶板で複製されていて、室町時代の京都の様子を目の前で見ることができます。京都市内にいくつかこの絵を見るところがありますが、こちらのが一番近くで見られるのではないかなと思います。
・さて、このフロアからもう一つの部屋に入ります。いよいよ平安京の模型を見ます!
⑩鳥羽離宮・豊楽殿復元模型
展示室に入ってすぐに目に入るのが鳥羽離宮の復元模型です。
そして隣には、アスニーのすぐ近くにあった豊楽殿の復元模型もあります。
屋根がとても立派で、こんなに大きな屋根を支えるにはこのくらいたくさんの柱が必要なんだなと理解できます。この大きさを実感していただきたいですね!また、160㎝の人が立てばどのくらいの大きさになるかがわかるように、人形が置いてありますよ。
模型の向こうには屋根の上についていた鴟尾の実物大模型があります。美しい模様が彫られ、本当に瓦を焼いて作ってあるそうなので、細かなところまで見てあげてくださいね。
横にある資料をもらって、ここを出た後に少し足を延ばしてみるのもいいかもしれません。ただ、地表には何も残ってません!残念ですが、石碑しかないのです…
豊楽殿跡の地図はこちら
⑪平安京復元模型
さてお目当ての平安京の模型です!これは圧巻ですね!国内でも有数の大きさの模型なんですよ。歴史学・地理学など専門家が集まって2年かけて作り上げられたそうです。もうこれを見るだけに来てもらってもいいくらいです!
NHK大河ドラマ「光る君へ」のオープニングに出てくる「平安京」の遠景、とってもよくできてますよね。実はこれを基にして作られているんですよ。当たり前ですがそっくりですよね!
オープニングには2回出てきますが、1回目は大内裏をフォーカス、2回目はたぶん東三条院を北から南へ見下ろす形になっているのかなと思います。
もう少し拡大してみると
でもその場では遠いのでよく見えません。真上からも見られないですからね♪そういうときは、模型の前にあるジオラマナビを使ってくださいね。
矢印が付いているところをタッチするとその部分が拡大されます。
大内裏のとことかはどの方向から見ても遠いし便利やと思うえ。
私もいっぱいタッチして遊んでしもたわ!
そして、模型の見方のポイントが書かれているプリントもあります!
そしてもう一つ。
音声ガイドのアプリもあるんですよ。インストールしてQRコードを読み込むと詳しく説明してもらえます。
⑫模型の周囲の展示物
平安京模型の右には平安京について丁寧に説明する展示があり、模型の左には「平安京の暮らしと文化」をテーマとした展示がなされています。
衣食住に関わる出土物を見ると、千年前の生活が一気にリアルに迫ってきます!
本当に使った道具(木製食器・硬貨など)や当時食べていた食事のサンプルなど、興味深いものがとても多いですよ!
また、⑩の豊楽殿の発掘調査や東寺・西寺からの出土物も見ることができます。
3.ボランティアさんと話してみよう!
もう一つ、展示を見ていてとても嬉しいポイントがあります。それは解説してくださるボランティアさんが大変秀逸なことです!
創生館にはボランティアの方が常におられて、画面の操作などに困っているとすぐに駆け付けてくださいます。とっても親切で説明も詳しいんですよ!というのも、専門家による講義を何時間も受けたのちに活動されている方々だからなのです。
私もいろいろと聞いてるけど、ホンマにもう、よう知ったはる!
人が少ない時は、雑談しながらいろいろ教えてもらえるかも♪
ボランティアさんは常時50名くらい活動されているそうですが、必要に応じて募集もされています。今は「光る君へ」で注目度もアップしているので、ボランティアさんも数多く必要なのでしょうね。
募集についてのページはこちらです。今回(2024年春)の募集は4月19日締め切りだそうなので、ご希望の方はお早めに♪
4.アクセス
京都アスニー(京都市生涯学習センター)のアクセスです。
住所 | 京都市中京区聚楽廻松下町9-2(京都市中京区丸太町通七本松西入) 京都市バス:丸太町七本松バス停で降車 |
電話 | 075-802-3141 |
ウェブサイト | https://heiankyosouseikan.asny.ne.jp/ |
開館日時間 | 平日・土曜:8:30〜21:00 日曜・祝日:8:30〜17:00 |
休館日 | 火曜日(祝祭日の場合はその翌日)・年末年始 |
駐車場 駐輪場 | 駐車場:有料。その七本松通沿い北側に駐車場の出入り口があります。 アスニーの北になるので、アスニーへは北入り口から入ることになります。 駐輪場:アスニーの西に2か所あります。少し高くなっているところが普通の駐輪場、 図書館沿いにあるのは子ども連れや高齢者・障害のある方などのためのものです。 アスニーの東には丸太町病の駐輪場があるのでお間違えないように。 |
5.まとめ
①京都市平安京創生館とは?
京都市平安京創生館は京都アスニー(京都市生涯学習センター)の中にある、無料で平安京を学べる施設です。
アスニー入口前には、この地にあった平安京造酒司の柱跡がその場所のとおりに配置されています。
アスニーと図書館があり、創生館はアスニーに入って行った方が良いので、まっすぐ奥の建物に入ってください。ただ、図書館とはつながっているので、図書館側からも創生館に行くことはできます。
②平安京が学べる展示物一覧(ずらっと並べます)
・源氏物語屏風・平安宮造酒司の説明
・平安京跡イメージマップ
・体験コーナー
・法勝寺復元模型
・土層パネル
・北野天神縁起絵巻(承久本)複製
・特別展コーナー
・バーチャル平安京 平安京オーバーレイマップ
・洛中洛外図屏風(上杉本)陶板壁画
・鳥羽離宮・豊楽殿復元模型
・平安京復元模型
・模型の周囲の展示物
③ボランティアさんと話してみよう!
平安時代の知識をたくさん持っておられるボランティアさんとお話をして、詳しい説明をしてもらいましょう♪ 自分がなることもできますよ!
④アクセス
千本丸太町の四辻に大極殿跡があります。そこで市バスを下車して大極殿跡を見て、少し歩いてこられてもいいかもしれません。千本丸太町からアスニーまでは歩いても数分です。
この先に嵐山があるさかいに、途中に寄ってみたらどうえ。
雨が降って、困った時の行先としてもええかもしれんわ♪
地味ではありますが、行って絶対損はないところです。この情報がお役に立てれば嬉しいです。
コメント