温暖化とはいえ寒い日が多い2月ですが、中旬も過ぎると、他の花に先駆けて梅が満開を迎える季節となります。
このころ、京都の北野天満宮(以下「天神さん」)では、梅花祭が行われます。今回は、梅花祭の神饌(お供え)についてと、「天神さんといえば梅」といわれるのに、梅の他に意外な花が使われていることについて説明したいと思います。
ちょっとした小さな知識ですが、ニッチな情報を積み重ねて京都通になっていきましょう!
この花については京都人でも知らん人の方が圧倒的に多いのんえ!
1.梅花祭とは
梅花祭は2月25日の菅原道真さんの祥月命日に行われるお祭です。約900年の歴史があり、道真公のご遺徳をしのぶお祭りだということです。仏教でいうと、「御遠忌法要」とかいうものになるのでしょうか。
2.梅花祭の神饌
梅花祭には神式の神饌が供えられ、神事が行われます。
お米を蒸して大小二つの台に盛った「大飯」「小飯」や白梅・紅梅の小枝を挿した「紙立(こうだて)」という特殊な神饌を供え、授与所では「紙立」に用いた玄米を「厄除玄米」として授与しています。
北野天満宮 公式ホームページ 祭典・行事「梅花祭」より
これらのお供えは「梅花御供」と言います。
「大飯(おおばん)・小飯(こばん)」は白米を蒸してついたもの。大きな入れ物に山のように盛られます。
「紙立(こうだて)」は、玄米の入った小さい紙コップのようなものに、白梅42本・紅梅33本を立ててあるお供えです。男女の厄年にちなんだものだそうです。
3.梅以外に使う意外な花とは?
実は、この花は他の地方にある天満宮でもかなり使用されています。なので答えは簡単かもしれないのですが、本家本元の天神さんではごくわずかしか使用する場面がありません。
①菜の花を使う!
写真をご覧ください。神官の方の頭についてるのは菜の花!(すみません、これは北野天満宮さんのHPからいただいています。自分で撮ったら差し替えますm(_ _)m)
しかも菜の花を使っている場面はここだけ!
明治以前、梅花祭の日は旧暦で行われていたため、大体今の4月初め頃となっていました。そこでそのあたりで調達できる花の1つとして、菜の花(菜種)が使われました。お供えも梅ではなく菜の花だったので、名前も「梅花祭」ではなく「菜種御供(なたねごく)」と呼ばれていたそうです。
しかし、明治維新になり新暦が使用されるようになって、天神さんでは「菜種御供」を「新暦」の2月25日に行うことになりました。菜種がまだ咲かないころの斎行ですが、道真公が愛された梅がちょうど満開になる頃であるため、梅の花を使われることになったのではと思われます。
いっぽう、他の天満宮では旧暦の「2月25日」という日にちをちょうどひと月遅れの「3月25日」として、菜の花が調達しやすい時期に行っていることも多いようです。
②数ある春の花の中で、どうして菜種?
では、春には数多く花が咲くというのに、どうして菜種をお供えすることになったのでしょうか?
理由は
「菜種(なたね)が神様をなだめる(和らげ鎮める)という音に似ている」
なんですって!ちょっと、やってみますか。
神様の御霊をなだめる…なだめ、なだめ、なだ…ね、なたね、菜種!
シャレかいな!
真面目に聞いてたらね、そんなんです(笑)
でも昔の人もユーモアというか、楽しんでますよね!
4.まとめ
①梅花祭とは
2月25日の菅原道真さんの祥月命日に行われるお祭です。
②梅花祭の神饌
現在「梅花御供」と言われ、梅の枝や、白米を蒸してついた「大飯・小飯」、玄米 の中に白梅・紅梅を挿した「紙立(こうだて)」などが供えられます。
③梅以外に使う意外な花とは?
神職の方の頭に挿す菜種(菜の花)が使われます。
菜種を使った理由としては、明治より前に行われていた旧暦の2月25日が4月であり、春の花として菜種を使っていたこと、また道真公の御霊「なだめる」として、音の似た「菜種」を採用したということがあげられます。
そのようなことから、昔は「梅花祭」ではなく「菜種御供」と呼ばれていたそうです。
「菜種」を使った理由はシャレから?!御霊を「なだめる」と「菜種」の音が似ていることからだったようです!
天神さん内にある梅は道真公がこよなく愛された花。この梅花祭のころ、天神さんの境内は梅の花が満開です。
「東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな(春な忘れそ)」
春の東の風が吹いたら、その匂いをこちらへよこしてほしい、梅の花よ。
主人がいないといって、咲く季節の春を忘れるなよ。
菅原道真さんが平時平の陰謀で大宰府へ流されていく時、詠まれた歌ですね。
伝説として梅が大宰府へ飛んで行ったと言われていますが、本殿前の梅は間違いなく伝説のある梅の種であるということが言われてきたようです。
梅苑には、50種1500本の梅がいっぱいで大変美しいです。もちろん入れば梅を堪能できますが、中に入らなくても梅はここかしこにあり、十分楽しめることでしょう。
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