7月の京都は祇園祭一色と言っていいほど四条通に市民や観光客が訪れます。その中で「宵山」という言葉が良く飛び交っています。
この間、「宵々山」に鉾を見に行ったんだ。すっごい人だったよ!
こないだやったら前祭の「宵山」か?そらいっぱいやったやろなぁ。
ほんで、「朝山」は見たか?
え…?「朝山」?
なにそれ?
あ~知らんか~まぁええわ。
そしたら「宵山」と「朝山」について見てみよか!
そこで、今回これを読むと以下のようなことがわかるようにしましたよ。
・「朝山」という言葉の意味がわかる。
・「宵山」が指す期間がわかる。
・「宵山」の見どころがわかる。
・後祭の「宵山」を見るお得ポイントがわかる。
1.「朝山」「宵山」とは?
①昔は「巡行=朝山」と「宵山」だった。
そんなに昔ではない50年ほど前まで、京都の人は山鉾巡行を「朝山」、巡行の前の数日を「宵山」と言いました。
「朝山」という言葉は、今の人にとっては耳慣れない言葉でしょう。夜に行われる「宵山」に対して、巡行は「朝」に行うので「朝山」と言いならわしていました。これは半世紀ほど前まで、京都に生まれ育った人たちが使っていた言葉です。しかし今はもうほとんど聞くことはなくなりました。
一方、「宵山」とは巡行前日だけの意味ではなく、巡行=朝山前の数日を指した言葉として用いられていました。
「数日」というのは、現代では14日~16日のことを指します。時代により変わったかもしれないのですが、そのあたりを統計として年代別に厳密に記述したものはほとんど見られないことから、ここでは「数日」と表現しています。
②「宵々山」という言葉はなかった?!
ただ、今現在は16日「宵山」に対して15日は「宵々山」と呼び、14日は「宵々々山」と言うこともあります。しかし①でもお話したようにこの3日間は「宵山」という言葉でくくられており、「宵々山」という言葉は半世紀ほど前はありませんでした。「宵々々山」ともなると30年ほど前にはなかったように記憶しています。
「宵々山」という名ができたのは昭和48(1973)年。高石ともや&ザ・ナターシャー・セブンというバンドと永六輔さんが15日に行うコンサートのために、「宵山」に対して「宵々山」という言葉を造語して名づけたそうです。日を判別しやすいし、言葉の響きが面白いこともあって広まったのでしょうね。
2.宵山の見どころ
露店やお店を巡ることだけが宵山ではありません。宵山で見るべきものをピックアップしてみましょう。「今年はこれをメインに見に行く」というようにテーマを決めると効率よく見ることができますし、面白い楽しみ方ができると思います。
①会所でのお披露目
会所とは、各山鉾を運営する町内が持つ寄り合い所兼保管庫の役割をする場所です。町が所有しており、昔は1軒の家の形式が多かったようですが、今は町内のビルの一部をあてていることが多いです。
各山鉾の会所では、各町内にある懸装品(鉾に乗せる者や飾るものが中心)などの宝物を披露します。
山鉾が建っている場所をめがけて行けば必ずあるので探してみてください。巡行の時は乗せられているのでよく見えませんが、ここでは目の前で見ることができます。素晴らしい宝物に出会えるかもしれませんよ♪
ご神体として祀ってあるものもあるし、手を合わせるつもりで見てほしいわ♪
②屏風まつり
会所とはまた別に、鉾町の大きな商家は個人的に屏風など珍しい外国からの到来物を買い集め、宵山には格子を外してそれらを披露しました。大変貴重なものが多く、それらを見るために来る方もいます。
ただ、大きな町家がどんどん減ってきており、それに伴い屏風まつりができる家も少なくなっているので、「見るなら今のうち」という場所もあるように思います。
③お囃子による神賑わい
神様への奉納、また来られる方に楽しんでいただくのがお囃子です。
鉾町の山鉾の上での演奏と、連日夜に御旅所では各山鉾回り持ちでお囃子が奉納されます。宵山最終日には御旅所までお囃子を演奏し(日和囃子)翌日の好天と無事を祈ります。
また、長刀鉾のみ八坂神社まで行きお囃子を行うので、それについて行くのもアリかと思います。
3.宵山は前祭だけではない!
①前祭と後祭の宵山
前祭は14日~16日に宵山がありますが、後祭にも21日~23日にあります。しかしその3日間の様子は随分と違うのです。
②前祭と後祭の宵山の違い
後祭が前祭とどこが違うかというと、
・露店がない … 後祭に出ているお店はそこでいつも営業されているお店となります。
・歩行者天国が無い … 交通規制もなく、一見して普通の町の状態です。
・規模が小さい … 前祭は23の山鉾に対して後祭は約半分の11の山鉾となります。
4.後祭を見るメリット!
これはただただ前祭より人が少ないので楽だ、ということです。
3.で説明した前祭と後祭の違いから考えてみましょう。
・露店がないということは、家の前に店が建たないということです。そうすると道幅が広いままとなるので非常に通行はしやすくなります。
・夜も歩行者天国が無く、また四条通に停まる山鉾がないので、お祭雰囲気が少なく静かです。
・前祭に比べ規模が小さいので回る場所も狭く、その分関係者も来る人も少なめとなります。
ただ、「人が少ない」と書きましたが、スーッと進める少なさではありません。あくまで前祭と比べて、人波の中を泳ぐようなことはない、という程度です。それでも随分と移動は楽だと思います。
歩いていると通行禁止の標識を目にしますが、自転車はどうなんでしょうか?
山鉾が建っている通りは、もちろん車は通れません。
でも自転車は人が増えてくるまでは通れると思います。
心配な時は警備の方に尋ねてから通ってくださいね。
5.後祭宵山のおすすめ見どころ!
山鉾については他のサイトでも十分すぎるくらい説明がしてあるので、私の考えた楽しみ方をご紹介します。
①新しい山鉾(大船鉾・鷹山)を毎年見るつもりで行く。
これはどういうことかというと、新しい山鉾の新しいファンとなって応援していくということです。何もかも新しくて美しい山鉾は見ても素晴らしいので応援のし甲斐があります。
新しい山鉾というと、鷹山・大船鉾となりますが、どちらも復活までに町内の方が大変な努力をされました。そのストーリーを知って見に行くと、また別の楽しみ方ができるかと思います。
また、どの山鉾も意気込みはすごいのですが、新しい山鉾ならではの緊張感があり、他の山鉾とは違う魅力があるということです。
1)鷹山
これは鷹山が前祭が終わってすぐから建って行く様子です。建つ過程を見ていくのも楽しいですね!
2)大船鉾おおふねほこ
大船鉾は大金幣と龍頭という2つの前の飾りを持っています。これが1年ごとに交代で鉾の舳先に付けられるので、2年は連続して行くといいのかなと思います。全く違う鉾のように見えるのが素晴らしいです!
②朝に行く?夜に行く?
今年だけでなく、ここ最近恐ろしいほどの暑さのなかでお祭が行われています。宵山は夜で昼ほどではないですが、それでも30度を下らなかったりします。
それなら宵山期間2日目以降の早朝はいかがでしょうか。1日目は曳き初め・舁き初めがまだで山鉾が完全に建ってなかったりするので、きれいに飾った2日目3日目の朝にじっくり覗きに行っていただきたいです。朝は静かで空気もきれい、何より涼しいです。そしてまた夜に提灯に火が入った風景を楽しみに行くという方法もありますね。
5.後祭の山鉾の配置とルート
地図にあるように、山鉾は新町と室町を中心として配置されています。そこで、どちらかの通りを縦に進みぐるっと回って来るのが効率が良いのではないかと思います。
一方通行まで把握してないのですが、人が多い場合あるかもしれないので、その場合も縦の通りをまっすぐ行くのがウロウロせず動ける方法になるでしょう。
6.ご利益別山鉾表
山鉾別はもうたくさんあるので、ご利益から探す表を作ってみました。
これは主にちまきを授与してもらいつるすことで、ご利益を得ることになるかと思います。
*鈴鹿山では盗難除けのご利益のある絵馬を町内の方に授与されるそうです。
ご利益 | 山鉾 |
---|---|
厄除け・疫病除け | 北観音山・南観音山 役行者山 |
健康 | 橋弁慶山(力縄) |
安産 | 大船鉾・役行者山・鈴鹿山 |
交通安全 | 役行者山 |
子どもの健康・夜泣き封じ | 八幡山 |
雷除け | 鈴鹿山 |
夫婦和合 | 八幡山 |
出世 | 鯉山 |
盗難除け | 黒主山・鈴鹿山(町内へ絵馬) |
勝ち運 | 浄妙山 |
7.まとめ
今回は「朝山」・「宵山」についての解説と、ゆっくり見られる期間として後祭の宵山のみどころをお伝えしました。
祇園祭を最後まで楽しみたいと思う方のお役に立てれば嬉しいです!
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