あと少しで新年を迎える時期になりました。京都でも新年に必要なものを買いまわっている人を見かけます。京都の人はお正月のために買っている多くのものが、他の地方とは少し違うものであるということをご存じでしょうか。
そこで、ここでは京都に特有な新年の道具の一つ、祝箸について説明したいと思います。
祝箸が違う形やていうても、別に3本入ってるわけやないし
気が付かへんこともあるかもしれんねぇ。
そやけど知ってたら結構な京都通やと思われるさかいに、
他の人にうんちくを話せたら面白いえ♪
お正月に京都旅行に来てこのお箸が出てきたとき、
しっかり説明できたら自慢できるね!
1.他の地方の祝箸とどこが違うのか
まず一般の祝箸と京都の祝箸を比べてみましょう。
①お箸が下に出ている。
京都の祝箸の特徴1つ目は、「お箸が下に出ている」です。
見たら一目瞭然ですね。一般的な祝箸は箸紙の上へ出ていて、京都の祝箸は下に出ています。
はっきりした理由はわからないのですが、私の母が良く言っていたことばを聞いていると、昔は全部そうだったかもしれない節があります。
着物を着た人が歩いているのを見て母がこっそり言った言葉がありますが、何を表しているかわかりますか?
いや、あの人の着物、箸紙やなぁ。
これは、着物を着たときにこのお箸のように足がにゅっと出ているようすを表しているのです。つまり、「着物が短い」ということなんです。たしかに、京都式の祝箸を連想できそうですね。
しかしこの形が祝箸だけだったなら、そんな言い方をしても、いまいちピンとこなかったのではないかと思うのです。お正月の祝箸に限らず、すべてのお箸がこの形で入っていたからこそ、この言い方が通用するのではと思うのですがいかがでしょうか?あくまで私の考えですけどね。
私の母親の顔、いけずそうなん選んでるけど、
ホンマの母はかなりはっきりモノ言う「西陣のお母ちゃん」タイプ。
こんなん言うたかて、全然陰湿な感じはしやへんかったえ。
②へぎが入っている。
京都の祝箸の特徴の2つ目は「へぎ」が入っていることです。「へぎ」とはなにかというと、「折ぎ」「 経木」「片」とも書き、杉の木を薄く割って作る板のことです。
紙の箸紙のなかに2枚重ねて入れてあり、お箸はその間に入っています。
下へ出た京都タイプでなくても、少し価格の高い祝箸には入っているようですが、京都タイプの祝箸には全部入っています。
2.どこで買う?
①古い荒物屋
・「荒物屋」とは?
「荒物屋」というお店をご存じでしょうか?雑貨屋さんのようなもので、家事を行う時に必要なものを販売しているお店です。お料理に使うお鍋や食べ物の入れ物、掃除道具など身近なものが並んでいます。今なら百均で買うようなものが多いかもしれません。
その荒物屋さんに、昔はお正月前になれば必ず出ていたのがこの祝箸です。今もほんの少しですが荒物屋さんが京都市内に残っています。私の住む周辺には2軒だけあるので、そのうちの1軒で購入しています(もう1軒にはありません泣)。
京都式の祝箸は、コンビニや100均・チェーン店のスーパーはもちろん、割と古くからある地元のスーパーですらもう販売されてなくて、とっても残念に思っています。
店主さんはご高齢の方が多く(ごくまれに若い方も)、あと何年頑張ってくださるだろうかと心配になるお店も多いです。これだけのためにとやかく言うのもどうかと思いますが、1つでも京都らしい風習が残ってほしいなぁと願っています。
ものすご京都らしいもんやのに、ほんまにどのスーパーでも売ってへんのん!
ほんまに無くなってしまわんように、みんなで買うて守ってほしいわ~
・価格は?
うちの周りでは5膳入り480円。1膳はお菜箸として使うので、1袋で家族4人までは大丈夫です。でも写真のように、私の買う荒物屋では小家族用として1膳ずつ販売されていて、とっても良心的です♪
生産数が少ないのと、「へぎ」入りの高級箸であるため、お値段はかなり高めです。でも、京都らしさを演出する縁起物ですから、お雑煮やおせちに添えるとグッと雰囲気が出ますね!年に一回のことなので、そういう意味でも購入する値打ちがあると思いますよ(^^)
②ネットで買える!
しかしここで発見!ネットで調べたらあったんです!!しかもいくつも複数サイトで!…
「へぎ 箸」で、検索してみてください!
ただ、よく見ると、それは私が使っているものと同じでどれも同じ商品でした。ということは、ひょっとしてもうこの会社1社しか作ってない?!!
これは大変です!もう絶滅危惧種になっているのかもしれないからです。そうであればとっても残念ですね。なんとか作り続けていただきたいなと思います。
ただ、評価を見てみると「匂いがきつい」と書いてあるものもあるのですが、私自身は数十年購入してきて、そのようなおかしな匂いを感じたことはありません。もしかして木の香りをそのように感じられたのかな、とも思うのですが、どうなんでしょうか?
ちなみに価格は私が買っている荒物屋さんよりお安いですが、送料が結構かかることを念頭に購入いただければと思います。
3.祝箸の使い方は?
では、京都の祝箸の使い方を説明しましょう。
前に書きましたが、1膳はお菜箸として使います。
そのお箸の箸紙には、お菜箸として使う、という意味の「組重」と書きます。そして、他の箸紙には家族それぞれの下の名前を書きます。
基本的には「組重」や家族の名前はその家の戸主が書くことになっていますが、それは家制度の強かった時代に決まったことなので、別に誰が書いてもいいと思います。
家族団らんの証のようなものですから、それを実感できることが大事かなと。
なんなら、興味を持つ子どもが書いてもいいのではないでしょうか。
今年はちょっと京都風にしてみたいな~と思わはったら、
京都らしさをお正月に取り入れる簡単なやり方やし、
安うでできる祝箸を使てみやはったらどうえ~♪
4.まとめ
①他の地方の祝箸との違い
他の地方の祝箸とどこが違うかというと、
①下から出てる
②へぎが入っている
ということです。
「へぎ」とは、杉の木を薄く割って作る板で、紙の箸紙のなかに2枚重ねて入れてあり、お箸はその間に入っています。
②祝箸が販売されているところ
京都の祝箸は京都市内の普通のスーパーやコンビニにはなく、古い荒物屋にしかありません。
私の周りでは5膳入り480円。
少し高いけれど縁起物なので、京都を感じられますし、お客さんに出すにも値打ちがあります。
③祝箸の使い方
どうやって使うかというと、1膳の箸紙にはお菜箸として使う意味の「組重」と書きます。
そして、他の箸紙には家族それぞれの下の名前を書く。
5膳入りなので1袋で4人まではいけます。
京都らしさをお正月に取り入れる1つの手段として、祝箸はとても安価で試せます。
おせちまでは本格的にできなくとも、そばにあるお箸で演出してみてはいかがでしょうか。お客様も喜ばれると思います!
また他にも京都らしい風習を紹介したいと思いますので、是非ごらんくださいね。
コメント
新ブログへ移行されて寄らせていただきました。
懐かしい祝い箸。祖母の家ではいつもこちらを使用してました。そして、なぜか取り箸には 蓬莱山 と 書かれていました。組重ではなく、、、、なんででしょうね、、、、習わしやしきたり もっともっと色々祖母に聞きたかったなぁと 思いを馳せながら読ませていただきました。これからも楽しみにしています。
まりちゃん様
コメントありがとうございます。旧ブログもお読みくださっていたのですね。ありがとうございます!
前のペンネームは名前負けしそうなので(すでに負けてたかもw)、西陣織の「綾錦」から取った名前に変えました。
この祝箸、本当にもうほとんど販売されてなくて、もし今買っているお店が無くなったらネットで買うしかないかと思っているのですが、この製造元が無くなったらどうしよう、とかいろいろ考えてしまいます。
取り箸に「蓬莱山」と書かれているのですね。私もどうしてなのかわかりませんが、やっぱりおめでたい言葉ですから、お箸を手に取るたびにお正月の気分を味わえますよね!
前のブログと同じようにマイペースでぼちぼち書いていくつもりですが、思い出してくださったときにお読みいただければ幸甚です。よろしくお願いいたします♪